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●K E M I - P R O J E C T 

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KEMI-PROJECTにご協力いただいた皆さまへ

 PWAから帰って3週間になろうとしています。フェルテで味わった自己嫌悪、高揚、歓喜、興奮でまだ気持ちが落ち着きません。「ぶちかましてきます!」と口では威勢のいいことを言っていたものの、出発前は気にかかることばかりで毎日、胃がしくしくと痛み、練習のために海に出ても体が思うように動かず、出来れば来年に伸ばせないだろうかと泣き言のようなことを考えていました。
 とくに心配だったのはオープンして1年になるぼくのお店『Triton』のことです。どうすればもっと皆に喜んでもらえる店になるのか、運営や経営について、今後の目標や方向性などなど、PWAのことよりむしろお店のことが気がかりでフェルテに向かう飛行機の中でもそんなことばかりに心を奪われていました。
 現地に着いていざ海に出るとクロスオフ、ガスティ、3.7オーバー、海面はジャンクでぼっこぼこというコンディション。中途半端な気持ちで出艇し、まともにプレーニングも出来ず30分ほどでいっぱいいっぱいになりました。ただ同じ海面で練習している無名の選手たちが半端なく巧い。しかもいつまでもいつまでも練習している。その姿からは大会に賭ける情熱がびんびん伝わってきます。ぼくはと言うと「ここで怪我をすれば帰ってスクールが出来なくなる」とか、そんなことを考えているわけですから、技術の差というより情熱の差ですでに完敗です。なんだかぼくがここにいること自体、他の選手に失礼なんじゃないかと、自己嫌悪に襲われて心がぽっきりと折れました。
 それからしばらくは練習しても身が入らず、海上でもそれらしく見せているだけで、なんとかこの時間をやり過ごしたい、大会もやり過ごして早く帰りたいという気持ちが大きくなり、一方でこんなチャンスは2度とないかも知れないのに、そんな逃げ腰の自分が許せない。頭の中はいつももやもやとしていて、とても平常心ではいられないような毎日でした。
 そんな自分を変えてくれたのはやはり同じ海面で練習している外国人選手たちでした。コンテストが近づくにつれて大会のトップランカーも現地入りし、ぼくが何かの技を決めるとヒューヒューっと歓声や奇声で応えてくれたり、ぼくが決めた技にプラスαした技を目の前で見せてくれたりする。とくにボネール島出身のカリビアンたちは底抜けに明るくフレンドリーです。むろん彼らの仕掛ける技には驚くほどのスピードと高さがあってトンキーやタティなど見ていて単純に「すげぇーっ!気持ち良さそう!」と思わせる。ぼく自身、フェルテのハードなコンディションに慣れてきたこともあってだんだん楽しくなってきました。もう泣き言はやめよう、こうなったからには燃えカスも残らないほど死力を尽くそうと思い始めたのもこの頃からです。
 コンテスト初日、与えられたヒートタイムは7分。不思議と緊張感はなくただただ次に仕掛ける技のことだけを考えていました。結果は残念ながら初戦敗退。次の日ルーザーズ(敗者復活戦)があり、オーストリアの選手に勝つことが出来ました。対戦相手の動きを見る余裕はありません。でもEスライダーをはじめ6つの技が決まり、もしかしたらという思いがありました。勝ったと知らされたときは嬉しかったです。ぼくにとって貴重な貴重な1勝でした。でも世界レベルはそう甘くはなく次のヒートで敗退。別の日に再度ルーザーズのあるダブルイリミネーションが行われ、初戦、ルーザーズともに敗退。出場全選手44人中32位の戦績でした。そしてこれでぼくのPWAは終わりました。
 改めてふり返ると世界のトップランカー達の凄さが目に浮かびます。技を仕掛けるにしてもぼくなら成功させるために少しだけスピードを落としてアプローチするのですが、彼らはこれ以上ないと思えるほどの超フルスピードで仕掛けていきます。それが高さの違い、滞空時間の違い、コンビネーションの複雑さの違いになって表れます。これはDVDのような映像や外人選手が来日したときのデモンストレーションでは分かりません。勝敗のかかったコンテストに出場して間近に見なければその凄さは絶対に伝わらないことだと思います。
 道具も体格も違わないのにここまで差があるのはそもそも前提としている目標が違うような気がします。例えば、ぼくが目標値を100に置いているとすれば彼らは200かあるいはそれ以上のレベルに据えている。悔しいですがPWAで戦ったそれが正直な感想です。ただ手がまったく届かないほど次元が違うのかと問われればそうではないと答えたいと思います。ハイレベルな選手同士で競いあう同じ環境で3年ほど練習すればぼくも彼らと同レベルになる自信はあります。根拠のない自信はぼくのトレードマークですから(笑)
 今回のぼくのPWAは終わりました。もちろん悔いはあります。出来れば今すぐにでも再チャレンジし、ぼくに言葉に出来ないほどいろいろな経験を与えてくれたあの場所に行ってみたい。でも現実はそれを許してくれそうもありません。日本で、千葉で、ここ検見川浜で頑張ってお店が軌道に乗ったら、そのときもう1度選手として挑戦してみたい。今はそんな気持ちです。
 また新しい意欲も沸いてきました。それは検見川浜でより強い選手、より勝てる選手を育てていくということです。もし次のKEMI-PROJECTがあるとすればその新しい人のためにぼく自身、力を尽くしたいという気持ちがあります。ぼくに大きなチャンスと夢と希望を与えてくれたKEMI-PROJECTにご協力いただいた皆さんには感謝の言葉もありません。本当にありがとうございました。最後になりましたが皆さんへの感謝の気持ちを込めてフリースタイルクリニックを開催したいと思います。まだプログラム内容は検討中ですが、長い目で見てステップアップに確実に結びつくような“気づき”の多いクリニックにしたいと考えています。日時は9月19日の日曜日、13時半から。場所は検見川浜にて。それではまた海でお会いしましょう!

2010年8月 J-82 鈴木健一

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